寺澤太郎「肖像写真館」(26日)
泉龍寺の小さな森に、一日限りの写真館がやってきます。
寺澤太郎さんは、「FIGARO japon 」「自休自足」「天然生活」「スタジオボイス」などの雑誌で活躍する、第一線の写真家です。長年雑誌の編集者としてやってきて、様々な写真家と一緒に仕事をしてきましたが、僕は寺澤さんほど美しい写真を撮る人を知りません。寺澤さんほど楽しそうに写真を撮る人を知りません。寺澤さんほど愛に満ちた写真を撮る人を知りません。
特に寺澤さんの撮るポートレートには、白眉の美しさとと力強さとあります。どちらかというと、“薄め”の、空気感(のようなもの)で見せようとする写真が流行りの中、確かな技術と経験に裏打ちされた、本物の写真。そこに寺澤さんの優しさと愛が注入され、見る人の心をとらえて離さない写真が生まれるのだと思います。
ある写真家がいいました。
「写真家にはふたつの仕事がある。撮影をすることと、プリントをすることだ」
この言葉は、写真という作品を生み出す過程において、いかにプリントが大切かということを言い表わしていると思います。デジタルカメラが全盛の中、寺澤さんは今でも自らプリントをしています。1枚の写真を焼くのに何時間もかけて…。
そんな最愛の写真家である寺澤さんに、花市に参加していただけることになりました! 26日の土曜日は、泉龍寺の片隅に写真館が出現します(背景となるスクリーンも特注したとのこと!)。実は今回、写真館の料金を設定するのに寺澤さんと僕たちは、何度も何度も相談をしました。最終的には、1枚8000円という金額を設定したのですが、これには寺澤さん自身が、「大きなフィルム(ブローニーフィルム)で撮影し、自分で大切にプリントをして皆様にとどけたい」という気持ちがつまっています。なんだか説明的になってしまいますが、ブローニーフィルムで撮影し、現像をして、時間をかけてプリントをするという流れの中で材料費等を考えると、これはむしろリーズナブルな金額と言えるのです。
ちなみに、寺澤さんが最近ポートレートを撮影した人は、北野武、クリント・イーストウッド、ジャン・レノ、モーガン・フリーマン、パティ・スミス、シェリル・クロウ他、たくさんのスターたちから市井の人々まで(こちらもあわせてご覧ください)。私的な話になりますが、僕自身も昨年、「一生の記念に」と寺澤さんにポートレートを撮ってもらいました。決して大げさではなく、寺澤さんがプリントをしてくれた写真が届いたとき、涙を流してしまいました。不思議なことに「頑張って生きてきてよかったな」と思ったのです。
めったにないこの機会。あなたも寺澤さんの写真の中に、自らの生きた肖像を残してみませんか?
[寺澤さんに聞きました]
・花市ではどんな写真館が登場するのでしょう?
小さな森にやってきた一日かぎりの写真館です。おひとりおひとりをモノクロのフィルムで撮影させてもらい、暗室で心をこめてプリントした写真をご自宅へお届けします(サイズは六つ切りサイズ・203mm×254mmです)。
・寺澤さんはいつもどんな写真を撮りたいと思っていますか?
人はあるがまま、そのままがいちばん美しいと思っています。それぞれが持っている雰囲気を壊さないように心掛け、時間がたっても色あせない写真を撮りたいと願っています。
・肖像写真館にお見えになる方にメッセージをお願いします!
記録という意味で、今の自分の顔と改めて対面してみるのも面白いと思います。自分の存在の美しさを再発見できるお手伝いができたら嬉しいです。
・寺澤さんご自身、花市をどのように楽しみたいですか?
緑のある静かな場所なので、春を感じながら、仕事とは違った気分で写真を撮ったり、お話しできたらいいなと思います。
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