鈴木農園「野菜」(28日)
さてさて、みなさん。本日はようこそお集まりいただきました。今から、皆さんお待ちかねの「鈴木農園物語」をお話ししたいと思います。
話は数十年前にさかのぼります。東京のはずれで代々農業を営む鈴木家の跡取り息子、英次郎さんのもとに、ある日お嫁さんがやって来ました。その人の名は美智子さん。夫婦となった英次郎さんと美智子さんは、やがて一女一男を授かり、幸せな家庭を築いていきました。そんな鈴木家に転機が訪れたのは、ふたりの子どもたちが成人した頃。きっかけは美智子さんがたまたま訪れた石窯パン屋さん。その時、きっと美智子さんの元へパンの神様が降りてきたのかもしれません。「私も石窯でパンを焼いてみたい!」と、ふと美智子さんは思ったのでした。
もともとセンスと行動力のある美智子さんは、やさしい英次郎さんの理解を得て、鈴木家の敷地内にある使われていなかった納屋を改装し、石窯をつくり、パンづくりを勉強し、天然酵母のパン屋さんをオープンしたのです。ちょうど今から10年前にオープンしたその店こそが、今やパンが好きな人なら知らない人はいない『ゼルコバ』です。
美智子さんのはじめたパン屋さんにたくさんの人が訪れるようになった頃、英次郎さんの心にある変化が訪れました。代々続く農家として、昔ながらのやり方で野菜を育てていた英次郎さんはこう思いました。
「自然のものにこだわって作ったパン屋の裏で、農薬や化学肥料を使った野菜を作っているのはおかしい」
以前から、農薬を使うと体調が悪くなることもあったという英次郎さん。そんな英次郎さんの大英断があり、鈴木農園は無農薬・有機栽培をする農家へと転身します。転身から数年後、油カスや米などを発酵させたものを餌にしたおりこうさんの微生物がたくさん生息する鈴木農園の畑からは、調査の結果、農薬が一切検出されませんでした。
さらにそれから数年経った今、美智子さん曰く「子どもの頃にかいだ土のにおいがする」というやさしくて元気な鈴木農園の土からは、力強くておいしい野菜が育っています。週に2回、鈴木家の庭先で野菜を販売する日には、安全でおいしい野菜を求めるお客さんやイタリアンレストランのシェフが、ひっきりなしに訪れます。
現在、パン屋さんは娘の理恵さん・孝章さん夫妻にバトンタッチされ、美智子さんは英次郎さんと一緒に畑を耕しています。今年からは、息子の富善さん・弓恵さん夫妻も加わり、鈴木農園の畑はいつも笑顔がいっぱい。家族が増えて新しくなった鈴木家の物語は……10月28日のもみじ市で、みなさんにお話しすることにいたしましょう。
1.鈴木さんにとってもみじ市とは?
たくさんの人達との出会い、たくさんの笑顔が満ち溢れるとても心にあたたかいイベントだと思います。
2.もみじ市に向けてどんな野菜を作りたいですか?
この地球上のどこかで生まれた種達が永い旅をして世界中に辿り着き、そんなたくさんの種の中のほんの一部を育てています。
3.鈴木さんにとって旅とは?
旅とは人生そのものだと思います。新しい場所、人、物と出会う最高の贈り物を私たちに与えてくれます。
4.もみじ市に来場する皆さんに一言お願いします。
秋の味覚をたくさん吸収しにきてください。
*さて続いては、鈴木農園の甘くておいしい野菜を使ってもみじ市の“名物”を作る、あの方の登場です。1年ぶりのコラボレーション再び!
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