桑原奈津子さん「お菓子」
もみじ市のブログでは、これまで54組の出店者や参加者のみなさんをご紹介してきました。そして今日が55組目、いよいよ最後の方のご紹介となります。
私たち事務局は、参加してくださる方を決定し、お願いするときに、心に秘めているいくつかの決めごとがあります。その中で、もっとも大切にしていることは、作品のすばらしさもさることながら、作家さんご本人のことを私たちが好き、ということです。好きな人たちと一緒に、もみじ市を作り上げていきたい…。
そして、私たちが大好きな作家さんの最後を飾るのが、料理研究家・桑原奈津子さんです。桑原さんのことは、初めてお仕事でお会いした時から、そのはにかんだ表情、物静かな様子、少女のような出で立ち、その奥底に潜む芯の強さに惹かれていきました。そして、いただいたお菓子を口にしたとき、シンプルで飾り気がなく、素材そのもの、特に粉の味を生かしたおいしさに、とびっきり感動したのを覚えています。以来、私たちは桑原さんの大ファンになったのです。
何かをご相談するときはいつも、ゆっくり考え、言葉を選び、答えを出す桑原さん。実は、昨年の秋に初めてもみじ市の出店をお誘いしたとき、2日間とも出店することを最後まで悩んでいました。それは、イベントに1人で参加することの大変さを知っていたから。来る人のことを思い、ゆっくり考え、丁寧に作っていくと、どうしても時間がかかります。生のお菓子は作り置きができない。1人でできることの限界。でも、待っている人のことを思うと、ついがんばりすぎてしまう。
この「やりたい!」という情熱と、「丁寧にできるか?」という気持ちの狭間でずっと悩んでいた桑原さん。しかし結局は、2日間ともおいしいお菓子をたくさん作って参加してくださいました。完売してしまった1日目の終了後、帰宅してから2日目の準備を始めたそうです。それも明け方まで。
そんな桑原さんは、今回も2日間の出店を悩んでいました。単独で出店するのではなく、別の出店者の方のサポートに回る形なども考えていたご様子。いつか、最善の答えを出してくれるだろうと、私たちは桑原さんのお返事を待っていました。そしてつい数日前、こんなメールが届いたのです。
「2日間とも単独で大丈夫です!
ようやく覚悟を決めました(なんて)。
長いことお待たせしてしまってごめんなさい。
内容は、やはり『もみじ市のお土産お菓子』でいきます」
やった! と思わず叫んでしまったのは、言うまでもありません。
出ると決まったら、毎回おいしいお菓子とユニークなアイディアで、話題を作ってくれる桑原さん。もみじ市の時は、かぼちゃのチーズケーキが衝撃的な(涙が出るような)おいしさで、1年経った今でも時々話題にのぼるほどです。春の花市では、お寺という場所柄を考えて、イラストレーターの平澤まりこさんと一緒に「おみくじクッキー」を作ってくれました。1つ1つ包装したおみくじクッキーの中には、かわいい春のひと言メッセージが。バナナのチーズケーキやバナナのスコーンも大人気でした。
そして今回のもみじ市では、「旅」というテーマに合わせて、桑原さんの口からこんなアイディアが飛び出しました!
「旅、もみじ、うーん。もみじまんじゅう!?」
えっ! もみじまんじゅう!? 桑原さんが作るもみじまんじゅうって、どれだけおいしくてかわいいのでしょう!
これは、1つのアイディア。実際、どんなお菓子が登場するかは、いま、桑原さんがたった一人でコツコツと作り上げているところ。当日までのお楽しみです。もみじ市への旅のお土産は、桑原さんによる「お土産お菓子」を、ぜひ手に入れてくださいね。
1.桑原さんにとってもみじ市とは?
ふだん家で仕事をしているので、出店者の皆さん、読者の皆さんとお会い出来る、貴重な場です。
2.もみじ市に向けてどんな作品を作りたいですか?
旅のお供のような、お土産のような、おやつセットを考え中。
3.桑原さんにとって旅とは?
家好きの出不精なので、大人になってからめっきり遠くへ行くことは少なくなりましたが、今の自分の何パーセントかは、子供のころ家族と行ったたくさんの旅で見聞きし、食べたものによって、作られていると思います。
4.もみじ市に来場する皆さんに一言お願いします。
お目にかかれること、お菓子を食べていただけること、楽しみにしています。
*出店者のご紹介は、本日で終了ですが、ブログはまだまだ続きます。次回ご紹介するのは、事務局企画第1弾。読書の秋、大好きな作家さんの心に響く一冊は、どうぞこちらでお買い求めください。
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