tico moon「ライブ」
その曲が流れると、私たちは甘酸っぱい気持ちになる。それが、たとえば友人たちと楽しく食事をしている時でも、青空の下でドライブしている時でも、もちろん仕事中でさえも。たとえ雑踏の中にいたって、その曲が流れていたらすぐに音を聴きつけ、自分の中の記憶を呼び覚まし、あの時の優しくて温かくて、ちょっと切ない気持ちになるだろう。
それほどまでに、私たちの心に深い記憶を刻みつけたあの曲、「ラズベリー」。アイリッシュハープの吉野友加さんと、ギターの影山敏彦さんのお二人によるtico moonが、この春に開催した花市のために作ってくれた美しい曲だ。
いまでも時々、あの時のtico moonのライブを思い出す。
4月8日日曜日、午後3時。2日間の大仕事が終わりに近づいたころ、私たちは充実感に満たされていた---。
ここへたどり来るまでの長い準備期間、始まる前の緊張、たくさんの人が訪れてくれた喜び、自分の作品を手にしてくれた嬉しさ、新しく芽生えた友情、自分を取り巻くすべてのものへの感謝。いろいろなことが頭の中をめぐりったり、心に湧いて来たりしていた。これまでの緊張感がほどかれ、ひとり一人の表情に安堵の笑みがこぼれ始めた頃、tico moonのライブは始まった。
泉龍寺に響き渡る、アイリッシュハープとギターの旋律。大きな木々にとけ込むような、美しくも心地いい調べ。ハープの弦をつま弾く友加さんの、舞うように美しい指の動き。少しはにかみながら、ギターの弦を細かく刻む影山さんの指の動き。優雅な二人の演奏する姿。ゆったりと流れる時間。舞台となった鐘楼の前に佇む大きな桜の木から、ひらひらと舞う花びら。
すべてをもっと見ていたい。聴いていたい。感じていたい。このまま時が止まればいいのに、と思った。でも、止まるはずもない。そしてラストの曲、「ラズベリー」。だから私たちは、この曲を聞くと、あのときを思い出さずにはいられない。ラズベリーのように、甘酸っぱい気持ちだったあの時を。
もうすぐ、あの時間が再び帰ってくる。「旅」というテーマをひっさげて。嬉しいことに、tico moonのお二人が今回のもみじ市のために、新たにもう1曲作ってくれたのだという。「旅感」溢れる新曲を。果たしてこの新曲は、私たちにどんな記憶を刻んでくれるのだろう。
今回も二人のライブはもみじ市のラストを飾る。だから、ぜひ、最後まで泉龍寺に身を置き、二人が奏でる音楽を聴いて欲しい。そして、もみじ市の記憶とtico moonの音楽を、みなさんの心にも刻み付けて欲しいと願う。
<tico moonライブ>
時間:15:00〜15:30(両日とも)
場所:鐘楼の下にて
*ライブは無料でご覧いただけます。
1.tico moonのお二人にとってもみじ市とは?
一言で表すと、ずばり「出会いの場」です。第一回もみじ市、そして花市を通して、今まで出会う機会のなかった多くの方々との出会いがありました。tico moonにとって本当に大切な宝物です。
2.もみじ市に向けてどんな演奏をしたいですか?
tico moonには旅をテーマにした曲があります。 「silent sea」というアルバムの中の " From Northern Land " という曲は、"フロンティアを目指して旅をする” というテーマで作りました。僕達の曲は歌詞が無いので、明確なイメージを持って曲を作る事はあまり無いのですが、この曲は最初からはっきりと "旅する人" というイメージがありました。
もみじ市当日は、作品を観たり、買い物をしたり、ワークショップに参加したり、出展したり、裏方で働いていたりしてその場に集まっている沢山の人々に、そっと寄り添う様に演奏できたら嬉しいです。
3.tico moonのお二人にとって旅とは?
身近な場所での再(新)発見。
4.もみじ市に来場する皆さんに一言お願いします。
その場にいるだけで気持ち良いので、自分のペースでゆっくり楽しんでください!
*出店者のご紹介も、残すところいよいよあと2人になりました。次にご紹介する方がいれるコーヒーは、なぜ、こんなに優しい味がするのでしょう?
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