安部太一「陶器」
いわゆる「作家もの」と呼ばれる器を、一般の人々が“普通に”使うようになったのはいつ頃からだろうか。それらの器を求める人々が増えるにつれ、それらを扱う生活雑貨の店も増え、多くの作家が生み出す器に日常的に接することができるようになった。
同時に、「どこかで見たような器が増えた」と感じることが多くなったようにも思う。「シンプル」という言葉に守られたような、それなりにかわいくて、それなりに使いやすくて、“無難な”器が。
安部太一さんが生み出す器は違う。彼の器を一目見ただけで、そのひとつひとつが、彼の中にある“美”を追い求めて生み出された器であることが伝わってくる。
その造形の美しさと、色の美しさ(どこか懐かしい記憶を呼び起こさせる)、手に持った時の重み(作品の重厚さを表すようだ)が調和し、確かなる存在感を放っている。
春の花市の時、安部さんの展示台の上に、美しい花瓶があった。どうしても欲しかったけれど、そう思ったのは自分だけではないらしく、いくつか並んでいた花瓶が展示台の上から姿を消すまで、そう時間はかからなかった。
どうしても諦めきれず、花市が終わった後、無理を言って安部さんに焼いてもらった。我が家にやって来たその花瓶は、古い食器棚の上にぴたりと収まった。
それから時間がだいぶたっているというのに、今でも家にいると、無意識にその花瓶に見とれてしまうことがある。花瓶の中に花はないというのに。
*安部さんに聞きました
Q1. 今回のもみじ市では、どんな作品を発表しますか?
ピッチャー、カップなどの日常に使える器やオーナメントなど。
Q2.「旅と音楽」というテーマに合わせた作品があれば教えてください!
音楽が聞こえてきそうな、オーナメントを考えています。
Q3. 新しい場所で開催されるもみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
今回は河原の広場での開催ということで今までよりも開放感のあるのんびりした空気を想像しています。秋の空の下、良い音楽を聞きながら、二日間心地よく過ごしたいと思います。
Q4. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客様にメッセージをお願いします!
新しい場所でのもみじ市ということで、出店する側もワクワクです。きっと出品する作品にもそれが現れるのではないでしょうか。ぜひ、もみじ市へお越しください!
*さて続いては、小さな“村のカフェ”を営むお二人。もみじ市初登場です!
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