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中川ちえ「トークトリップ」(26日)

Chie

最近、中川ちえさんに会うたびに、僕はこう言うことにしている。
「ちえさん、小説を書いてください」

ちえさんの文章が好きだ。ちえさんが寄稿した書籍や雑誌があることを知ると、取る物も取り敢えず、ちえさんの文章から読むことにしている。

まず、出だしがとっても好き。ありきたりな説明的な要素はなく、「すっ」と懐に入ってきて、最初の一文だけで情景が浮かんでくるような文章。その一文があるからその後に続く文章のリズムは約束されたようなもので、心地良いテンポのなかで読み進んでいくと、自分が見たことのないはずの風景や、日常の中の甘酸っぱい匂いが漂ってくる。結びでは、出だしの文章の伏線がさりげなく効いていて、良質の短編小説を読み終えた時のような、なんとも言えない余韻を残す。

ちえさんが愛して止まないものたちと、その作り手たちへの思いを綴った近著『ものづきあい』(アノニマス・タジオ)のなかに、「鰹節削り」と題されたエッセイがある。このエッセイは、こんな風に始まる。

「近所の魚屋さんに、黒白のブチで目つきの悪いノラ猫が住みついている。ポカポカ陽気ののどかな日にはウチの庭までやって来て、好きな場所で奔放に寝そべり、日向の心地よさを堪能していく。」(P142より引用)

そして、終わりはこう。

「あの黒猫たちにこの味を覚えさせてしまったら大変だ。削る音がするたびにやってきて、せがまれながらせっせと削り節を作らなければならない羽目になる。自由に暮らしているように思える猫を見ていて見習うこともあるけれど、この削り節の味はそう簡単に教えるわけにはいかない。」(P161-162より引用)

やっぱり僕は、ちえさんの文章を読む度に、ちえさんが書いた小説を読みたくなるのだ。ちえさん、いつか僕の夢を叶えてください!

現在ちえさんは、エッセイストのほかに、生活雑貨を集めたお店「in-kyo」店主としての顔も持っている。in-kyoに行けばちえさんに会えるわけで、ちえさんはいつも、たくさんの人に囲まれている。

みんながちえさんと会いたいのは(飲みたいのは?)、ちえさんの穏やかで、だけど楽しい人柄に触れたいのはもちろん、ちえさんとおしゃべりをしたいからだと思う。ちえさんの書く文章と同じく、ちえさんの話す言葉は、会話をした相手に幸せな余韻を残す。ちえさんとおしゃべりをした人は、みんな元気になって、家へ帰っていくのです。

さあみなさん。もみじ市では、ちえさんとおしゃべりをするようなつもりで、ちえさんが紡ぎ出す“言葉”をお聞きくださいね。もみじ組のクリエイターたちを迎えて、どんな話が飛び出すのかは、当日のお楽しみ。でも、ひとつだけ確かなことは、もみじ市への旅から帰る頃、ちえさんとおしゃべりしたあなたは、きっと元気になっているでしょう。

<中川ちえトークトリップ>
日時:10月26日日曜日 12:15~
場所:川を背にしたステージにて

*中川ちえさんに聞きました

Q1. 今回のもみじ市では、どんな作品を発表しますか?

前回の「お話の会」に引き続き、「トークトリップ」と題して今回もしゃべります!

「旅するようにしゃべりたい!」

そんな私の願いを叶えてくれるお相手はもみじ市メンバーの面々。
tico moon 影山さん
オカズデザイン料理長 吉岡知子さん
手紙社代表 北島さん

旅先でいろんな人に出会って輪が広がっていくように、お一人ずつ会話に加わって頂いて、最後には4人でお話をする予定です。

Q2.「旅と音楽」というテーマに合わせた作品があれば教えてください!

トークトリップの他に、いつか旅してみたいと思っている徳島で、珈琲焙煎をされている「aalto coffee」さんのコーヒー豆を販売します。お買い上げのお客様にはコーヒーと音楽が好きなaalto coffeeの店主・庄野さんと私が書いたコラムのミニミニリーフレットを差し上げます。

Q3. 新しい場所で開催されるもみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?

実はわたくし、事前に現地を見ぬまま、当日を迎えます。
だから「河川敷」と聞いて、川の匂いと原っぱのような景色を勝手に想像しているのですが、まさにそれは出発前に旅先へ思いをめぐらせているときのような気分なのです。
当日は新鮮な気持ちでワクワク感を味わいたいです。

Q4. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客様にメッセージをお願いします!

今まで花市・もみじ市が行われていた泉龍寺にはいつも気持ちの良い空気が流れていました。場所が変わってもきっとそれは変わらないはず。

空を見上げて、深呼吸してー。

そんなゆったりした心地で楽しんで頂けたらと思います!

*さて続いては、な、なんと、ラジオから毎日のように流れてくる歌声がもみじ市に! その歌声は、あの雲のように、空高く舞い上がっていくでしょう。

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