get well soon 「自家製酵母パンと粉のお菓子」
“get well soon”
わたしの元気のおまじない。最初にこのお店の名前を目にしたのは、雑誌クウネルの創刊号。本も半分を過ぎたころ、福島県にあるパン屋さんのことが紹介されていました。なんてあたたかい名前のお店なんだろう。それ以来、心がしぼんだり、身体が元気のない日にはこの言葉がわたしのおまじないのようになりました。
「get well soon、すぐによくなりますように」
おまじないの力が彼女に届いたのでしょうか。今年の夏、福島で行われた「FOR 座 REST」で出会うこととなりました。彼女とは、自家製天然酵母パンと粉のお菓子「get well soon」店主・八代絵里子さん。クウネルに掲載されてから6年、現在は福島県東白川郡で小さなパン屋さんを夫の美智彦さんと2人で切り盛りしています。
パンに使われている自家製天然酵母は、八代さん自ら季節の果物からおこした酵母菌に、石臼で自家製粉した国産小麦全粒粉を種継ぎしたもの。基本的にはこの酵母・粉・水・塩の4つの材料で作られているパン。
そしてすべての材料は、自然のエネルギーをたくさん蓄えたものを選び、それらをまるごと使うようにしているそう。砂糖や卵・乳製品など動物性のものも使いません(一部商品を除く)。その訳は「なるべくシンプルに素材の味が伝わってくるような食べ物づくりを、そして、なるべく身体に負担のかからない食べ物づくりを心掛けているから」と八代さんは言います。
確かに、八代さんの作るお菓子は、素材の持つ甘さやおいしさを生かして、甘酒や水あめなどの必要最低限の甘さを加えるのみ。お菓子から「砂糖」を引き算したら・・・甘くない? 答えは「いいえ」。甘いのです。その甘さの感じ方は人それぞれ。でも、ひと口目には「粉らしさ」を。もうひと口食べて、よーく噛んでみると、独特の「甘み」と「旨み」がやって来ます。
数年前にお母さんになった八代さん。お子さんを授かり、妊娠してから、より“食べること・食べるもの”について考えるようになったのだとか。材料に砂糖、卵、バターなど動物性のものを一切使わなくなったのもお子さんがきっかけだといいます。
「女性だからこそ感じられる自然の欲求。妊娠して感じた、子供を守るという意味で働く自然の感情。その気持ちのままに選んだのが今のget well soonのパンやお菓子の材料なのだと」と八代さん。この人の作るパンが身体にしみじみおいしい理由は、この“根っこ”の部分にあるのだと思いました。
あのお会いした夏の日に「ぜひもみじ市へ」と、お誘いしてからあっと言う間の数カ月。get well soonが、秋のもみじ市へ福島からたくさんのパンや粉のお菓子を連れて、“旅”してやってきてくれるのを心待ちにしていました。1日目はパンやお菓子中心に、2日目は、クッキーなど日持ちするもの中心に販売できたら、と考えてくれているそうです。
みなさん、ぜひ河原に腰をおろして、すぅーと深呼吸。ゆっくりとget well soonの「秋味のぎゅっと詰まったパン」を味わってみてください!
*get well soon・八代絵里子さんに聞きました
Q1. 今回、もみじ市ではどんな作品を発表しますか?
いつものget well soonそのまま、秋の素材を素直に生かしたものを。
Q2.「旅と音楽」というテーマに合わせた作品があれば教えてください!
まだ未定ですが・・・旅に携えていけるようなパン、というのを考えてみようかな、と思っています
Q3. 新しい場所で開催されるもみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
すべてはじめてのことなので、緊張しています。いつもは通販でお届けしていたお客さまに直接手渡しできると思うので、それが楽しみです。あとは他の出店者のみなさまとの交流など楽しめたらと思っています。
Q4. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客様に メッ セージをお願いします!
いつも通り、おいしくな~れとひとつずつ手作りしたものを、ちょっと遠く福島から運んでいきます。いつも食べてくださっていた方にも、はじめて手に取ってくださる方にも、喜んでいただけるように、と思っています。青空の下、パンやお菓子を直接お渡しできるのを楽しみにしています。
*さて続いては、皆さんおまちかね、雑誌等で大活躍のあの方の登場です。人は彼女をこう呼びます。「粉に愛された料理研究家」と。
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