はてしない こばやしゆう「たいせつな宝をしまう箱」(11日)
築40年になる我が家の玄関のドアを開けると、左側に備え付けの小さな下駄箱があって、下駄箱の天板の上は、僕のちょっとした宝もの置場になっている。雑貨屋さんで見つけたフランス製の古い筆箱、小谷田潤氏の作品であるふた付きの小さな陶器(この中にニシモトリョウタ氏の作品である指輪が入っている)、「3」と「9」の形をした陶器のオブジェ(39歳の誕生日に友人がプレゼントしてくれた)、そして、木でできた青色の電車。
この電車は、こばやしゆうさんの作品だ。4年ほど前、雑誌の取材で初めてゆうさんのアトリエにお邪魔したとき、宝箱をひっくり返したような空間の中に、その電車はあった。取材中、僕があまりにその電車をじろじろ見るものだから、ゆうさんが、後にプレゼントしてくれたのだ。
もっとも、僕がじろじろ見ていたのは電車だけではない。土、木、ブリキ、紙、石など、あらゆる素材を使って作られるゆうさんの、器、椅子、絵本、照明、オブジェなどの作品に、目を奪われっぱなしだった。まるで、遥か昔に作られた作品のような、確かなる存在感。何かに例えることができない、魅力的な作品。
それでも例えるならば、ゆうさんの手のひらから生まれる数々の作品は、まるで、ゆうさんの手のひらそのものだ。力強くて、自由で、不思議で、やわらかくて、すべてを包んでくれる優しさをもっているような…。そして、それは紛れもなく、世界にひとつしかないもの。
我が家では、毎朝、ゆうさんの器が食卓に上がる。ゆうさんの器は、どんな料理をも力強く包み込んでくれる。ゆうさんの器で、毎朝みそ汁を飲むと、その日は、一日元気に過ごすことができるのだ。決して大げさな話をしているわけではない。毎日使うものの中にも、大切な宝ものがひそんでいるというのは、なんとも幸せなことなのだ。
さてここからはゆうさんの近況。どうやら、ゆうさんのもとへは、時折ものづくりの神様(?)が降りてくるようです。最近は、なぜか、糸電話を作ってしまったそう。個人用の楽しみに作ったそうですが、「ひとりじゃできないんですけど…困ったな…もみじ市に持って行って遊んでもらおう!」とのこと。皆さん、ぜひ遊んでみてください!
*こばやしゆうさんに聞きました
Q1. 今回のもみじ市では、どんな作品を発表していただけるのでしょう?
たいせつな宝をしまう箱を並べたいと思います。
なんじゃこれ、どーすんの?というような、自然の中の素材を使ったもの。
陶の入れもの。革の袋。木の入れもの。
Q2.「宝さがし」というテーマに合わせた作品があれば教えてください!
がらくた箱の中身のような。
自分だけの世界でたった一つのもの。
素材は、陶 紙 木 革。
人が「ごみ」にしか見えないものが、実は私のすごい大事な宝だったりするので、そういうものからできた作品、例えば、木切れのネックレスとか、石を編んだ用途不明のものとか。
Q3. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
私の宝物は何かな、と考えてみました。
手作り絵本もそのひとつです。
それらを並べて、見ていただくのも楽しみです。
Q4. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!
目に見えない宝物があります。
時どきのぞいてみると、想わずにっこりするようなすばらしい宝物。
私の心の中にはそういう宝物のはいった箱がいっぱいあります。
あなたにはそんな箱がいくつありますか?
ゆうのがらくた箱をぜひ、のぞきに来てみてください。
*さてお次に登場するのは、もみじ市初登場の菓子研究家。雑誌などで活躍している、あの方です。
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