成田理俊「鉄」
みなさんは「鉄」にどんなイメージを持っていますか? 重いとか、硬いとか、どちらかと言うと、男性的な力強いイメージを持つ人が多いのではないかと思います。私自身も、鉄という素材に関しては全く未知の世界で、長い間ずっとそう思ってきました。そうです、ある日、成田理俊さんの作品に出会うまでは。
成田さんは、群馬県北部の山の途中に工房を構え、日々鉄を使った作品づくりに励んでいます。私が初めて目にした成田さんの作品は、見た目がとってもかわいいS字フック。「えっ! これが鉄?」と、一瞬疑ってしまうほどでした。芯の太さおよそ直径2mmで、見た目はとても繊細な印象を受けるそれは、実際に手にしてみるとずっしりと重みを感じ、「あっ、そうだ。これは素材が鉄だったな。」ということに改めて気づかされたのです。
見た目のシンプルで洗練された、そしてちょっとかわいい印象と、手にした時の力強さ。このイメージギャップは、それまでの私の鉄のイメージを見事に変えてしまいました。それは、鉄の新しい表情を見つけたとでも言いましょうか。まるで、普段はぶっきらぼうな男の子がふとした瞬間に見せるはにかんだ笑顔を見つけた時のよう。今まで知らなかった鉄の一面を見れたような気がして、どきどきしたことを覚えています。とても嬉しい瞬間でした。
こんなに素敵な作品を作る成田さん。そもそも、成田さんが鉄に興味を持つようになったきっかけは、以前されていたお仕事で、溶接をしたこと。その時に鉄が瞬時にくっついて、しかも強度があることに面白さを覚えたのだそうです。それからは「生活の中で使える道具であること」を心掛けながら、魅力的な作品を次々と生み出してきました。その活躍ぶりはご存知の方も多いと思いますが、成田さんの作品は、どれもが毎日の生活の中にすうっと寄り添ってくれるものばかり。S字フック以外にも、フライパンや箸置き、茶さじ、豆皿などなど。どれをとっても、洗練された形で、でもどこか発想がユニーク(いかがですか、どんどん鉄のイメージが変わってきませんか?)。一目で成田さんの作品と分かってしまうのです。
さて、今回のもみじ市では、どんな作品を披露してくれるのでしょうか。きっとみなさんの期待をいい意味で裏切る、鉄の作品たちを届けてくれるはずです。ぜひ、みなさんの目でそれを確かめに来てくださいね。
*成田理俊さんに聞きました
Q1. 今回のもみじ市では、どんな作品を発表していただけるのでしょう?
鉄の小物たち。今回はステンレスものも出します。黒一色だった中に、白っぽいものが増えます。
Q2. 「宝さがし」というテーマに合わせた作品があれば教えてください!
宝ものといえば、宝箱。蓋付きの箱でも作ろうかなと。あと、人によっては宝物になるようなものがあるといいのですが…。
Q3. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
去年に続き2回目の参加なので、余裕を持ってゆったりと過ごしたいです。
Q4.もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!
いいお天気の下(希望)、たくさんの作品や仕事を見に来てください。
*さて続いては、おとぎの国からやってきたたくさんの人形と連れ立って…そう、あの方の登場です!
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