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たいやきやゆい「鯛焼き」(11日)

Taiyaki2

あつあつに焼けた一匹のたいやき。あなたは頭から食べる派? しっぽから食べる派? わたしはまず半分に割って、おなかから食べる派です。

できあがったばかりのそのたいやきは、ゆっくらとふくよかにおなかをふくらませていました。半分に割ってみると、薄く焼かれた生地の間から、ほくほくに炊かれた粒あんの湯気がたちのぼります。やけどしないように気を付けながら、ゆっくりとひと口ぱくり。さくっとした生地の食感としっとりとしたあんこ。どんどん笑顔になっていくのがわかります。

ここは東京・国立にあるカレー屋さんの軒下。たいやきを焼いているのは、たいやきやゆいの由井尚貴さんです。由井さんは屋台のたいやき屋さん。今日はここ、明日は野菜の直売所の隣で、その次の日は住宅街のカフェの前で、と曜日によって場所を変えて販売しています。隣町の府中から、毎日毎日屋台を引いて、ここへやってくるのです。

なぜ、たいやきを? そして、なぜ屋台なの? 次々とわき起こる興味津々な疑問の数々。由井さんは、たいやきを焼く手を休めずに、ときどきこちらを向きながら、笑顔でこう語ってくれました。
「もともと料理をすることが好きでした。でも、ただ作るだけでなく、作ることを通して誰かを笑顔にさせたい。そんなあるとき、当時通っていた居酒屋さんのオーナーがかつてたいやき屋さんをやっていた、という話しを聞いたんです。それで、おもしろそうだな、と思って。たいやきって、手から手へ渡すあったかいイメージがありませんか? それに子どももおばあちゃんも大好きなものだし。それが、自分がやりたいイメージと重なったんです」

そしてこう続けてくれました。
「もちろん、最初はちゃんとした店舗にするつもりでした。でも資金不足だったので、屋台ならできるだろうって、この屋台を友だちと一緒に作ったんです。でもこのスタイルが、より自分のイメージにより近づけてくれた。毎週会うお客さんがいて、挨拶をして。待っているお客さん同士が立ち話を初めたりして。そんなあったかい風景を目の当たりにできるのも、屋台だからこそだと思います」

その言葉の意味は、30分ほどその場に一緒にいただけで、すぐにわかりました。買い物帰りに1つずつ買っていく若い夫婦。「2個でいくらだ?」とかけ算の練習を始める親子。「今日は7つちょうだい」と言って、焼き上がるのを待ちながら、世間話を始めるおばさん。それは、なつかしいような幸せな風景でした。

由井さんはたいやきを1つずつ焼きます。だから、少し時間がかかります。それは、平べったい型に何匹ものたいやきが寝そべって、一度に焼き上がる「養殖物」と呼ばれる焼き方と違い、「天然物」というと呼ばれる焼き方をしているから。長い鉄の棒の先に、1匹だけの型がついていて、何度もひっくり返し、焼き色を見ながら仕上げて行きます。そのスムーズな手さばきは、いつまでもじーっと見とれてしまうほどです。

無農薬、無化学肥料の北海道産小豆、国産小麦、天然塩など、素材にこだわっているのも、食べる人の本当の笑顔を見たいから。半年間の独学の末に行き着いた、由井さんだからこその味わいと焼き加減、できたてはさくっと、冷めたらもちっとする生地のたいやきが生まれたそうです。

もみじ市でも、焼き上がるまでに少々お時間をいただくかもしれません。そんな待っている時間、列のお隣の方とおしゃべりをしたり、川や空を眺めながら、それを手にする笑顔の瞬間をお待ちくださいね。

*たいやきやゆいさんに聞きました

Q1. 今回のもみじ市では、どんな作品を発表していただけるのでしょう?

鯛焼きです。

Q2. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?

出会いと交流。今回はじめての参加となるもみじ市の雰囲気を楽しみたいです。

Q3. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!

もみじ市では、今日を幸せに変えて行って下さいね。

*さて続いては、優しい心で野菜を育てる、あのファミリーの登場です。


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