ひなた焼菓子店「白箱菓子と木の箱」(11日)
すこし早起きをして見上げた空は、とても高く、とても青い。お気に入りの靴をはいて、「行ってきます!」。お日さまにあいさつをして、各駅電車に乗りこみました。そう、向かう先は町田市にあるひなた焼菓子店。
最寄りの駅から、川をひとつ越え、畑を目にしながら、てくてく歩いて20分ほど。古い平屋が並ぶその一角に、ようやく、ちいさな看板を見つけました。矢印が教えてくれる通りに、ぐるりと家のまわりをまわって、縁側に到着。からからと引き戸を開けて、中に入ると、肌がつるつるっとした、笑顔の素敵な女性が出迎えてくださいました。彼女が、ひなた焼菓子店の店主、森和子さんです。
お店を始められてから、約3年半。お店の営業日には、朝日がのぼる前に起き、オーブンをつけて、準備を整え、タルト、クグロフ、スコーン、パウンドケーキ、クッキー、と順番に焼いていきます。北海道産の小麦粉、房総半島の卵、ヨロン島の天然塩、てんさい糖、アルミニウムフリーのベーキングパウダーと、身体にやさしい素材が使われ、季節の果物は、近所の農家さんのもの、ローズマリーやベリーは、お庭で育てている、摘みたてのものを。それらの焼菓子が並べられるのは、森さんのパートナーでもある木工作家の鰤岡(ぶりおか)力也さんが作った、滑らかな木の表情の、木のトレイやコンポート皿の上に。そんな、おふたりが作り出す、うつくしい風景を見ながら、どの焼菓子にしようかと選ぶ時間は、とてもしあわせなひと時です。
いくつかの焼菓子と、森さんの笑顔をお土産に、来たときと同じ道をたどって、駅まで向かいながら、今度は畑をよく見てみました。あれは、里芋の葉っぱ、こちらは、にんじん、あっちは梅の木。目の前に流れる相模川は、わたしの両親の暮らす海辺の街まで、つづいているのだと知りました。
家に帰ってから、ていねいにいれたカフェオレと一緒に、オレンジナッツタルトをいただきました。ほろほろとココア味のタルト生地が口の中でくずれ、甘酸っぱいオレンジ、くるみ、オレンジピール、チョコチップ、とさまざまな食感がとても楽しい。ピンク色の胡椒のスパイスが、それらの自然な甘みを引き締めます。
「いつも、そんなに考えません」。そう笑いながら、日々のことをお話してくださった、森さん。光と風がそよそよと降り注ぐ、あの気持ちのよい場所で、森さんの心の感じるまま、手を動かして作られる焼き菓子たちは、わたしたちに、おいしい時間を届けてくれる、お日さまのぬくもりのような存在なのだと思いました。わたしの心の中にも、小さな旅の思い出とともに、あたたかな気持ちが、ずっとつづいていきました。
さて、今年のもみじ市では、鰤岡さんが作られた、頼もしくて、やさしい雰囲気を合わせもつ、大きなテーブルの上に、開けてからのお楽しみ...! の白箱菓子が並びます。もみじ市のために焼かれる、秋の果物を使った焼菓子たちが入っているそうです。そして、木の箱や、コンポート皿など、木で作られた生活の道具も一緒に並べられます。
みなさん、どうぞ、秋のやさしい風を感じながら、わくわくしながら、ひなた焼菓子店にいらして下さい。
*ひなた焼菓子店・森和子さんに聞きました
Q1. 今回のもみじ市ではどんな焼菓子と作品を発表してくださるでしょう?
普段、お店では販売しない、イベント限定の焼き菓子と、木の入れ物、お皿、コンポート皿など…。
Q2. 「宝さがし」というテーマに合わせた焼菓子があれば教えてください。
白い箱の中身は、開けてからのおたのしみ…。
Q3. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
広い空の下で、気持ちよい一日になるように。
Q4. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客様にメッセージをお願いします!
ワクワクしながら、来てくださいね。
*さて続いては、信州の大地で農業を営む素敵なご夫婦が登場。もみじ市初参加です!
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