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木下宝「宝グラス」

Takara

「透明であるということ。これがいちばんの魅力。そして、透明であるとはどういうことなのかを考えさせてくれるのが興味深い」
ガラスの持つ魅力とは? との問いかけにこう答えてくれた、ガラス作家の木下宝さん。シンプルだけれど、とても洗練された「タカラモノ」を作る作家さんです。

今年の春ごろ、都内で開かれた宝さんの個展にお邪魔しました。扉を開けた瞬間から、会場に漂う凛とした空気。それは、宝さんの手で丁寧に作られた作品の数々からあふれでているものなのだと納得するまでに、そう時間はかかりませんでした。なぜかって、会場に並べられた宝さんのガラスたちは、どれもが姿勢よく、すぅっと、その場にたたずんでいたから。その光景は、それはそれは美しいものだったのです。ひとつひとつ、ゆっくりと手に取って、ガラスの重みを感じ、そしてそのガラスを使う未来の自分の姿を想像する。あぁ、なんだかしあわせ、そんなふうに思った午後のひとときでした。

その時、同時に感じたのが、ガラスはさまざまな表情を持っているということ。透明な表情、お日様に当ててみた時のきらきらとした表情、水を注いでみた時の表情、ビールを注いだ時の表情、おいしそうなみずみずしい果物を盛った時の表情…。表情の多さとその可能性に、わたしの好奇心はうずうずしたのです。

そして夏が来ました。わたしの部屋では宝さんのガラスが毎日大活躍。そうです、あの春の日に持ち帰った、小さいガラスの器がそれです。いろいろな表情を見てみたくて、たくさんのものを盛ってみました。アイスクリームにかき氷、ヨーグルト、果物、マカロン。どれもがいつもよりおいしく感じられたのは言うまでもありません。

こんなに美しい作品をつくる宝さん。現在はもみじ市で披露してくださる作品づくりに追われる日々だそう。そんな中で先日、こんなことを話してくれました。

「作る前には一応デザインはあるのですが、作る過程で、溶けているガラスの表情や自分の手に伝わる感覚が、机上のデザイン以上の美しい形を提案してくれるので、それを大切にしています」

きっと今ごろ、もみじ市で出会うみなさんの表情を思い浮かべながら、宝さんにしかできないガラスとの「会話」を楽しんでいるのでしょう。

さぁ、みなさん、もみじ市当日は「木下宝さがし」へようこそ。多摩川のきらきらとした水面に負けないくらい、きれいに輝くガラスたちにどうぞ会いに来てくださいね。そして、ガラスと同じくらい、いや、それ以上にきらきらとした優しい笑顔の宝さんとぜひお話してみてください。

*木下宝さんに聞きました

Q1. 今回のもみじ市では、どんな作品を発表していただけるのでしょう?

ふだん使いのガラスの器〜コップ、ピッチャー、フタモノ…を出します。

Q2. 「宝さがし」というテーマに合わせた作品があれば教えてください!

私さがし?と言われてるような気がしてドキドキします!(苦笑)なんでもない
器だけれど、「気がつけば、タカラモノ!」になってもらえるとうれしいです!

Q3. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?

お客さまが器を手にとって、持ち心地を確かめたり、使うしぐさをされるのを見ているのが好きです。今年も、皆さんが器と会話される姿をしっかりと頭に焼きつけて帰りたいです!

Q4. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!

河原で宝さがしというと、石ころ拾いが浮かびます。宝石箱をひっくりかえしたようなたくさんの石ころたちから、いいなと思うものを選ぶことそれ自体が宝物でした。もみじ市の記憶がみなさんのなかでずっと残る宝物になるといいなあ!!

*さて続いては、子どもからお年寄りまで大好きな、なつかしくて幸せなあのおやつのご紹介。屋台を引いてやってきますよ。

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