二象舎「からくり屋」
今回はもみじ市初出店となる、とってもユニークなものづくりユニットのご紹介です。名前は二象舎(にぞうしゃ)。原田和明さんと原田めぐみさんのおふたりが、動物や靴などをモチーフにした、くすっと笑えるかわいいオートマタ(=からくり人形)を、山口県の自宅隣にある工房でつくっています。
写真中央のオートマタの名前は「Decoy」。この作品を一目見た瞬間、私は彼らがつくるオートマタに夢中になりました。この作品のからくりはこう。右のハンドルを時計回りに回すと、木箱の中におさめられた木製の歯車が回転し、それに連結した鳥の置物が持ち上がります。そしてさらにハンドルを回すと…。「カン!」これにはびっくり! 鳥の置物が卵を産むのです!この楽しいからくりには、もちろんしかけがあります。「なるほど!」とおもわず感心してしまうような。そのヒミツは…ここでは内緒にしておきますね。
お二人がつくるオートマタは、しかけが楽しいだけではありません。見た目もとっても美しいのです。そのモチーフとなる動物や靴は、ナイフで一刀一刀丁寧に削られたからこそ生まれる、すべすべの滑らかな質感に包まれていて、木の温かさをダイレクトに感じるこ とができます。また、このDecoyは木目が羽根の重なりに見えるよう、削る場所を調整してつくられているのです。その作品を見て、触れていると、二象舎の繊細で丁寧なものづくりの姿勢が伝わってくるのです。
和明さんのオートマタとの出会いは、7年前に遡ります。現代からくり人形の第一人者・西田明夫さんの『動くおもちゃ・AUTOMATA』という本に出会い、オートマタの魅力に惹きこまれました。会社員として働きながら、独学でオートマタづくりに励んでいましたが、その情熱は止まることを知りませんでした。オートマタを学ぶべく、原田さんは本場イギリスへと留学したのです。美術系の大学院に通いつつ、尊敬する作家、マット・スミス氏の元で修業した原田さん。そして2年前、二象舎として独立したのです。
オートマタをつくるとき、精密な設計図は描かずメモ程度にとどめている、という和明さん。頭でイメージを膨らませ、ナイフで木目に沿って彫っていきます。一つ一つの部品の形や大きさで最終的な動きが大きく変わるオートマタ。何度も形や長さを微調整し、少しずつ完成させていくのです。また、つくりながら次の作品のアイデアが浮かぶこともあるそうです。例えば「Decoy」のペンダントトップを作っている最中に、「次はにんにくで作ろう!」とひらめいたり。和明さんのユニークなアイデアは、そうやって無限に広がっているのですね。
1つの作品をつくるのに、1か月以上を要することもあるオートマタ。とっても大変だけど、原田さんは満面の笑みでその楽しさを語ってくれました。「おバカなことに情熱をかけることが大好きなんです。アイデアを考えたり、作ること自体が楽しいから、いくら時間がかかっても、苦しいとは思いません」。そんな原田さんが作品をつくるときに常に思い描いていることは、“自分が欲しいと思うもの、自分が部屋に置きたいと思うものをつくる”こと。
もみじ市当日は、素敵なオートマタの数々のほかに、一筆箋、マグネット、なべしき、ネックレス、赤ちゃん用のおもちゃ、モビールなどの小物をつくってきてくれるそう。オートマタのモチーフがペンダントトップになっているネックレスは本当に美しいですよ。皆さん、二象舎のブースを訪れたら、はじからはじまで1つずつ、オートマタのハンドルをクルクル回してみて下さいね。その間、あなたの顔にはきっと笑顔がこぼれるはずです。
*二象舎の原田和明さんに聞きました
Q1. 今回のもみじ市では、どんな作品を発表していただけるのでしょう?
ハンドルをまわすと人形が動き出す、ユーモア溢れるからくり作品です。
Q2. 「宝さがし」というテーマに合わせた作品があれば教えてください!
オートマタがみなさんの宝物になってくれると嬉しいのですが実際のところ、そんなにたくさん作れないので(笑)、歯車をモチーフにした木の小物なども持っていきます。
Q3. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
初参加なので、楽しむ余裕があればいいのですが…(笑)。お客さまに楽しんでもらうこと、それが僕らの楽しみです。
Q4. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!
大人の文化祭、「もみじ市」。みんなで文化の秋、食欲の秋を満喫しようではあーりませんか!
*続いては、多摩川にサウダージの風を吹かせる歌姫の紹介です。
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